そこに在る、見えない生活

作品発表にあたっては、《会場で作品を見せる》というよりも《会場そのものを見せる》ということを常に意識している。

会場視察でこの沢渡ギャラリーを訪れた時のこと。最初は「他の会場に比べると無機質で、ストーリー性の乏しいスペースだな」と思っていた。ところが、下の階のベニヤ板で仕切られた一角がふと気になり中を見てみると、ベッドや棚、こたつ、スリッパやお皿など、そこには明らかな”生活”が存在していた。最初に抱いていた無機質な印象が、生々しい”生”が突然目の前に現れたことで一気にひっくり返された、衝撃的な瞬間だった。

「ギャラリー」とは本来、何かを「見せる」ための場であり、公開性・公共性の高い空間であるともいえる。対して、寝泊りをする部屋というのは最も私的でプライベートな場所であり、基本的には他人に「見せない」空間である。

本展覧会『そこに在る、見えない生活』は、「公共性⇄私秘性」・「見せる⇄見せない」が同時に存在している、沢渡ギャラリーという空間自体を表現したものとなる。

サイズ:展示空間に依存 素材:木材、アクリル、樹脂、印刷物 制作年:2025年

出展:中之条ビエンナーレ 2025