八百万シリーズ
「八百万」と書いて「やおよろず」。
その機能を失い打ち捨てられた機械や道具などの部品と、人が強固な建造物を建てるために生み出した人造石であるコンクリート・モルタルとを組み合わせて、現代社会の中に佇む新たな神様を作り出していく。
祖母のミシン
幼いころ両親は共働きで、保育園には毎日祖母が迎えに来てくれていた。両親が帰ってくるまでの間も祖母に面倒を見てもらっていた。裁縫を得意としていて、彼女自身の身の回りのものはもちろんのこと、僕の保育園や小学校で使う小物などもこのミシン台で作ってくれた。靴袋や布団カバー、ランチョンマットなど。
祖母が死去してから25年が経った。
その間ミシンは使われることなく部屋の隅に佇んでいた。引き出しには当時祖母が使っていた針や糸などの道具がそのまま残されている。
シンガー社製、1920年代に製造されたもの。